つまりは、何もしないよりかは、何かしたほうがまだマシだという事だ。

圭一は自分の気持ちの思う方へ、足を向けた。

結衣がいない事を認めたくないならそうすればいいし、からっぽの胸を埋めたいならその人に会えばいい。

一緒にいたいならそうするべきだし、そう思うなら、そうしたいと叫びもがくべきだ。

すべては、まず一歩だ。

足を動かして前に進めば、たどり着くのはここではないどこかで。そこに行けば、自分の知らない何かを見つける事も出来るはず。

そうやって圭一が向かった先は、彼が生まれ育った町だった。

言いかえれば、結衣と出会い結衣を失った町。

結衣にとっては、生まれ育ち、そしてその生涯を閉じた町だ。

”会えばいい”

その言葉を鵜呑みにした時、向かうべきはこの場所だと圭一は感じていた。

1年以上離れた町にたどり着いた時、自分が拒絶し続けた町は、無機質にその扉を開けていた。