「そうするよ」

「ああ、そうしろよ」

「うん、そうしなよ」

それは、その日始めて一致した意見だった。

そして、それが導き出されると洋太と菜緒は、そのまま部屋を出た。

圭一は、ひとり部屋に残る。自覚しているかどうかは知らないが、そこにいるのは圭一ただひとりだ。

「大丈夫かな?」

部屋をでて、急に心細くなった菜緒が洋太に向いて言った、

「大丈夫?よく言うよ…」

突き放したようなその言葉は、軽い笑いに乗せられて発っせられた。

「散々、めちゃくちゃにしたくせに!」

洋太はそう言うと、今度は声をだして笑った。

「そんなあ…」

洋太に言われて、菜緒はムッとした。だいたい自分を連れて来たのは洋太だ、自分こそめちゃくちゃだ。

「大丈夫だよ」

そんな菜緒の口を封じるように、洋太は言った。

「神木さんだってそう思ってるんでしょ?」

「…」

全くそうだ、むしろ確信している。