その部屋はとても殺風景だった。

生活に必要な最低限をたくわえ、あとは整理する必要もないくらいなにもない。

部屋の真ん中には、小さなテーブルが置かれていて、周りにクッションが2個無造作に置かれていてる。

テーブルの上も散らばっている様子はない。

ただ、一枚の写真がフォトスタンドに入れて置いてあるだけだ…。

写真の中には、透き通るような白い肌の女の子が写っている。

今、この部屋にいるのは菜緒も含めて3人。

写真の傍らにいる二人の男は、何か話しをするわけでもなく、ただ静かに対峙していた。

一人は悲しそうな顔をグッとこらえ、何か強い決心を伝えようとでもするみたいに片方をニラミつけている。

もう一人は、まるで彼の周りから光や音が失われてしまったかのように、不自然に立ちすくんでいる。

二人がそうする事で、部屋全体が色褪せて行くようで、菜緒は息苦しい思いでそこに立っていた。