昼過ぎに目を覚ますと、どんよりと曇っているせいで夕方近くに感じた。

ジメジメした空気が部屋いっぱいに立ち込めている。

窓を開けてみると、まだ雨は降っていないようだった。ぐるりと部屋の空気が入れ代わって気持ちがいい。

しばらく窓を開けていると、どんどん空が暗くなっていった。見上げると雨雲がみるみるうちに広がっている。

空気がそれに共鳴しているかのように、ビリビリと震えていた。

カラカラに渇いていたアスファルトはそれを待っていたかもしれない。

やがて、その一粒が零れ落ちる。

深く濃い青の絵の具は”ボタリ”とアスファルトに落ちると、それが合図だったかのように空から悲鳴をあげて雨粒が落ちて来た。

「あっと言う間だな」

圭一は、呟いた。呟きながら窓を閉めた。

いつの間にか結衣も起き出していた。

二人はしばらくの間、その賑やかな音を聞いていた。