朝がきた。

今朝は少し涼しいような気がしたが、草木に跳ね返る光や、ウルサ過ぎるセミの泣き声がそのまま夏を感じさせた。

寝たのか寝なかったのか自分でも分からないまま、圭一はベッドから滑り出した。

何をするにも身体が軽く、どうせなら少し走って来ようかと思うくらい身体中が満ち足りていた。

冷蔵庫に溜め込んである缶コーヒーを取り出し、口をつけると圭一は結衣を見た。

結衣は子供の様に無防備にねむっている。結衣のそんな寝顔を初めて見たとも圭一は感じていた。

おそらくは、何百回となく見てはいるのだが、昨日と明らかに違う景色のなかで圭一は確信的にそう感じていたのだ。

準備が出来たとでもいうのか。そんな感覚なのかもしれない。

そうやって何気ない事をこれから積み重ねて行くつもりなのだろう。

そうやって不効率にも体温を放射させ続けるつもりなんだろう。

どうであれ、これが圭一のだした結論ではあった。