そもそも洋太は、独自のシンジケートを持っていて、圭一の周囲を事細かに観察している。

だから、洋太に対して秘密を持っていたとしても、いつか必ずばれてしまう。

圭一はそう思っていたから、先日あった事をそのまま話した。

「ハハ、運命の出会いだ。うらやましい」

「なんだよそれ?」

「気になってんだろう?」

「別に!それに俺には!」

「結衣ちゃんか?」

ふらふらと定まらなかった視線が、ピタッと止まり、鋭く圭一の事を覗き込んだ。

「やっぱり、まだ好きなの?」

好きも何も…。自分には結衣以外考えられない。

圭一は思いはしたが、上手く口に出せなかった。

「一度ちゃんと考えてみたら?」

だから、何を考えろと言うのだ?勝手に先へ進んで行く会話に追いつけない。

「過去にすがるような、歳でもないだろ?」

「何なんだよ!一体?!」

結局、圭一が口にしたのは、ただの苛立ちだった。