携帯が着信を知らせる。

圭一は渋々通話ボタンを押した。

「紗梨奈です。」

「ああ、どうも…」

あれから、毎日のようにかかって来ていた。

「何してたんですか?」

「ん?学校だよ?」

「へえ」

この質問が何の役に立つのか判らないが、こんな会話を15分くらい続ける。

付き合っている訳では無い。

むしろ圭一は彼女に結衣の存在を伝えていた。

「やっぱりね」

彼女は、さほど気にしない等と言った。

気にしないと言われて、圭一は何も断る理由が無くなった。

「友達と仲良くするのは、普通の事でしょ?」

彼女の言葉に、圭一はことごとく翻弄されてしまう。

「いつなら、遊べます?」

「あそぶ?」

「せっかく夏なんだし遊びましょうよ」

海とかプールとか…。紗梨奈と話している限り、紗梨奈のペースから抜け出せる気がしない。