「神木さんさあ…」

洋太に見られて、視線が外せない。

「ずっと、圭一の事見てたでしょ?」

急に、核心を突かれて首を縦にも横にも振れない。

”マズイ!”

この場合、沈黙は「ハイ」だ 。

菜緒は必死に首を横に振ろうとしたが、もう遅かった。

「好きなの?」

更なる攻撃が菜緒を襲う!。

「う、うあ」

何とか否定したかったが、ダメだった。

傍から見ても解るくらいに、菜緒の顔は真っ赤に染まっている。

「ハハハッ素直だね」

それだけ言うと、洋太は「じゃあ、また」などと言い残し、帰っていった。

”何だったんだ!?”

菜緒はそう思う反面、何かに飲み込まれるような思いを感じていた。


菜緒はいつもそうだ。気付いたら、踏み込んでいる。