白衣を脱いでも恋してる

「ってかさ、卒業もだけど…」



「ん?」



茹でダコのごとく真っ赤な顔で俯き、軽くなったシルバートレイを相変わらず握りしめたままのあたしの顔をふいに覗き込んできた先生は、



「お前、次は調理師の専門に行くんだろ?一体、何目指してるわけ?将来の夢はコックさん、ってか?」



「え?」



目を大きく見開くあたしを見つめながら訊ねかけてきた。



将来の…夢?



ってか、



「なん…で…」



「は?」



「なんで…知っ…て…」



あたしはピクッと一瞬だけ眉間に皺を寄せる先生をただ真っ直ぐ見つめながら訊ね返した。