月の夢

読み終えてから静かに本を閉じた。

ソファ代わりに座っていたベッドへそのまま背中から倒れこみ、

目を閉じて『月の夢』の余韻に浸る。

ゆっくりと育んできた恋や、ともだちとの大切な約束が、春を境に消えてしまうのはさみしすぎる、と思う。

だからこそ愛おしいのだけど──気がついたらあたしはまた泣いていた。