月の夢

「篠原くんの思うように書いてみるしかないんじゃないかな?」

「……」

篠原くんは黙っている。

冷たい言い方になってしまうかもしれないと思いつつ、あたしはそのまま続けた。

「迷ったり、悩んだりしていいと思うよ。

誰かの作品と較べないで自分にしか書けない作品を書けばいい、とは思うけれど、

影響を受けちゃう作品なんて今までいっぱい出会ってきただろうし、

誰の影響も受けていないなんてのは嘘だもの」

「……うん」小さくうなずいた。