月の夢

図書館の敷地内にあるベンチに座る。

躊躇いがあるのか話を切りださない篠原くんに、

「話ってなあに?」と訊いてみる。

ようやく口を開いた篠原くんは、

「先輩ってなにか夢って持ってる?」

夢──。

夢村という苗字なのに、今まできちんと考えたことなかった。

あたしの夢ってなんだろう。

すぐには思い浮かばない。