俺は野田。今から、外へ出なくてはならない。休日だというのに部長に呼ばれてしまった。

今日は晴れ。しかし、俺はスーツの上にカッパを着た。そして長靴を履き、傘を持った。
なぜ、そんなことをするかって?

雨が恐いからだ。

外が晴れてたって急に曇ってきて雨が降り出すかもしれない。いや、それ以上に恐いのは天気雨だ。狐の嫁入りと言ったりもする。日が照っているのに雨が降ってくるってやつだ。

だが、ここ最近全く天気雨が降らない。最後に降ったのが、俺が6才の時だから、30年前だ。だから、今の世の中の若者に天気雨を知っている者はほとんどいない。
いや、知ってはいるが信じていない。俺は6才の時、天気雨の恐ろしさを知った。

あれは、俺が婆さんと散歩していた時だった。