母がこいつは刺身にしようと言い出したが、絶対に茹でるべきだ。そう母に言うと、父も賛同してくれた。しかし、海で釣ったやつだからという理由であり、僕とは明らかに観点が違う。


母が調理を始めた。
熱い鍋の中にびちびちと跳ねているそいつは入れられた。
悲鳴が聞こえたような気がした。
ぶつり、ぶつりと切られていく。あるものはチャーハンの具に、あるものは煮物に、またあるものはもやしとともに炒められ。

夕食のテーブルはあいつらで埋め尽くされた。

いただきますという合図とともに、もちゃくちゃと食べ出す父と母。

なんとおぞましい光景だろうか。さっき生きていたものを見ていながら、どうして躊躇もなく食べられるのか。



とても僕は食べられない。