ACID RAIN

 道にあるのは、雨が降ってきた時に雨宿りできるようにと政府がつくった屋根が並んでいるだけだ。

建物も灰色の団地に灰色のビルだけ。
青い空の下、何もない道を歩く。

 前方にカッパも着ずに歩いてくる男たちがいる。あれは・・・。会社の後輩のようだ。
向こうも俺を認めたようだ。

「野田さんじゃないっすか!どうしました?部長にでも呼ばれました?」

無防備の後輩が言った。

「そうなんだ。ところでお前ら、カッパは持っているのか?」

「晴れてるのにカッパ着てるの野田さんくらいですよー。天気予報も雨は降らないって言ってたし」

天気予報なんか信じてるのか。

「それに、傘もってるし。」

「傘じゃ雨が入ってくるだろ。お前らの傘、小さいし。」

「これで防げる間に近くの屋根に行きますよ。ていうか、カッパってダサくないですか?」

後輩の一人がそう言った。どうしようもない奴だ。

 その時、再び奇跡が起こった。俺のカッパに何かが落ちた。それは大気中の水蒸気が凝結した水滴。