そして、堤防で絵を描いてるときだった。

「夏!」

「…葉!!」

葉もまた、あたしのことを
夏と呼ぶようになっていた。


「絵、見せて」

「はい」


絵を描いては、葉に見せる。

そんなことが日課になっていた。


「お前ってさー…」

ふいに葉が口を開く。

「人は描かねーの?」


体温が下がった気がした。



こんな何でもないはずの質問が、あたしには深く突き刺さる。