「子供ながらに考えた。大人になったら、どうやってあの人達を救おうか。何をしたら喜ばれるのか。

でも、大人に近づけば近づく程、その想いを実現させる事が出来ない気がして来た。
勉強をしたり、作法を習ったり。
でもこれらが一体、何の役に立つのかなって。
今私がやってる事って、何なんだろうって・・・


ある日。
私は何も、出来ないんだって・・・悟ったの。
私は子供の時のまま、何も出来ないただの貴族の娘なんだってー」



揺れる、栗色の髪

震える、穢れを知らぬ肌


この若さで、この若い乙女は世の中を見ている。
これは、

至極の宝だー


私は密かに呟いた。