「お嬢様」


「ジョセフ・・・」



勉強の時以外は私を名前で呼ぶ。

先生と呼ばれるのは生まれて初めてで
執事である私を敬うその言動に驚いたが、今では名前と同じ位自然に感じる。



「また、外を眺めておいでですか?」


私は用意した紅茶を手際よく入れながら尋ねる。


「ええ。」

「いつも、何をお考えなのですか?」

「・・・」


押し黙るあなた様に、私は当てに行くかのような一言を発した。


「幸せについて、ですか?」


ゆっくりとこちらを振り向くその顔が、まるで救いを求めるいじらしい聖女のようで。


「何故?」