泣かない約束

 電車の扉が開く。

 けたたましいブレーキ音と一緒に何千という足音が鳴り出す。

 そして、一つの足音が僕の背中で止まった。

 ポンポン。

 2回肩を叩かれた。

 これが僕と結衣の合図になっていた。

「久しぶりノブ。何年ぶりかな。」

「去年の夏以来だよ。」