「うん、それは分かったんだけど…」
心から視線を逸らし、俯く私に「はぁ…」と心の溜め息が聞こえた。
「なぁ、俺になんか言うことなぇか?」
「えっ?」
顔を上げると、不機嫌な顔をした心が視界に入る。
「引っ越しに、大学。」
「ゔっ…」
「なんで言わねぇの?」
「ご…-「謝罪はいらねぇ。」」
「俺はあおから直接聞きたかったのによ。」
心の言葉に頭が徐々に視線が落ちる。
そんな私に
「まぁ、俺が言わせねぇようにしてたんだけどな。」
心は言葉を続けた。
「--はい?」
「いつまでも言わねぇからムカついて、ぜってぇ驚かしてやろうと思ってよ。
おめぇの両親にも一樹達にも内緒にするように言っといた。」
「ん?」
「それに、忙しかったのもあるが会わず、電話の会話は短く。」
「へ?」
「あおはぜってぇ直接言うって分かってたからなぁ…
作戦大成功ってやつだな。」
「……」
「理解できた?」
「--しんちゃん、の…大学、って…」
「あー、T大学経済学部。」
「まさか…」
愕然とする私に、心は口角を上げ
「4年間よろしくな。」
と言った。
大学は、、END

