「葵ちゃんのバーカ!!
今度、かずくんと邪魔しに行っちゃうんだから!」
「えっ!ちょっ…-き、切れた…」
画面に表示された"通話終了"の文字を見ながらア然とする。
「いつも通りの声だったし…平気かな?」
ひとりでに納得し、携帯を鞄にしまい再びアパートへと歩き出す。
「えっ!!」
角を曲がりアパートの前には引っ越しのトラック。
驚いたのはトラックが到着していることではなく、トラックから運び出される家具とダンボールに。
だって鍵は…
コートのポケットに手を入れ、取り出したのはキーケース。
中を確認し、鍵があるか確認し足早にアパートへ向かった。
カンカンカンと階段を駆け上がり、向かう先は新しい我が家。
2階に上がり、自分の部屋を見ると
「--あれ?」
ドアは開き、荷物は運び込まれていた。
部屋の前が悲惨なことになっていると思っていた私は、ホッと溜め息を吐いた。
「管理人さんが開けてくれたのかな…?」
ドアが開いてることが不思議だったが、私は気にすることなく我が家へ足を進めた。
「--わっ!」
部屋に入ろうした私は、部屋から出てきた人どぶつかりそうになり、一歩後ろへ引いた。
「す、すみません!!」
目の前には、作業服を業者。

