「未来、ごめんね。」
落ち着いた未来に謝罪する。
「なんで教えてくれなかったの!」
珍しく怒っている未来に罪悪感が沸く。
「今、未来はかずくんと旅行でしょ?」
「うっ、うん…」
「話そうと思ったんだけど、二人の邪魔はしたくなかったんだ。」
「……」
言葉を発しない未来にもう一度、「ごめん」と謝る。
この角を曲がればアパートがある。
私は、角にある電信柱の横に立ち未来の言葉を待った。
「--ごめんね…」
2分が経ち聞こえた声は未来の小さな謝罪の声。
その声に罪悪感が膨らむ。
「なんで謝るの…悪いのは私だよ。」
「ううん、私が悪いの…
さっき、かずくんに聞くまでまだ先の話だと思ってて…」
「ごめん」と呟く未来に胸が痛くなった。
「美穂ちゃんとアッキーちゃんは?知ってるの?」
「う、うん…一昨日送別会やってくれた。」
「一昨日…」
「本当にごめん!
二日前から一樹と旅行に出掛けた未来はもちろん不参加。
良かれとやったことが裏目に出てしまった。
「……もういいよ。」
少しの沈黙の後に発した未来の低い声。
聞いただけで凄く怒っているのが分かる。
私は「ごめんなさい」と言うことしかできなかった。

