金髪の君*完結




痺れが治まった私が向かう先は


「--綺麗…」


私の大切な思い出の場所。

視界に写る桜の木は沢山の花を咲かせ出迎えてくれた。


今年は寒かったせいか、遅咲きの桜の木は4月に入ってやっと満開になった。

視界いっぱいに写る桜の花に目を奪われた私は、ハッと我に返りジーンズのポケットに入っている携帯を取り出した。



--カシャッ…



薄暗く静かな空間に響いたシャッターの音。

画面に写った桜に満足した私は、すぐに待受画面へ登録した。

サイトから取った桜の待受画面は、自分が撮った思い出の桜へと変わった。



画面に写った桜と、目の前の桜の木を見て


--これで寂しくない。


笑顔が溢れた。


だけど、



「しんちゃん…」


桜の木と一緒に写真が撮れたらよかったのにと頭に過ぎった欲求。




「--寂しい。」


ぽつりと呟いた声は、日が沈み暗い空へと吸い込まれて行った。