「明日何かあんのか?」
「--へっ!?あっ、いや…その…」
「何?」
「あっ、明日…」
再び話を切り出そうとした私に聞こえた
「藤森くん--「今行く!!」
男性の声。
声を張り上げ答えた心に、私はガクッと肩を落とした。
「あお、ごめんな?
休憩終わりだ。」
「やっぱり…」と小さく溜め息を吐いた後に
「平気だよ!仕事頑張ってね!」
明るい声で「じゃぁ」と言うと
「わりぃ、またな。」
と言い、心は電話を切った。
「ま、また…」
桜の待受画面に変わった携帯を片手に
「言えなかったぁぁぁ…」
頭を抱えた。
卒業してから半月。
心は毎日お父さんの会社の手伝いをしている。
付き合ってから会える日が無かった私は
"引っ越し"
の話をできないでいる。
直接会った時にと思っていた私は、結局話が出来なく引っ越しの1週間前になってしまった。
そして、
「引っ越し明日なのにぃぃ…」
心は忙しいく会えないため、電話で伝えようとしたがタイミングが悪く、引っ越し前日となってしまった。

