「なに?」
紙袋を受け取った心は中を覗き込む。
「あっ、借りっ放しでごめんね…
クリーニングに出しといた。」
「--セーター?」
紙袋の中身を取り出して確認する心に
「あっ、もしかしてしんちゃんのじゃなかった…?」
不安になる。
体育館裏で飯塚に告白され、無理矢理キスされそうになった時に心が助けてくれた。
その後に心といろいろあって、気付いた時は保健室に寝ていた私。
寝ていた横に置かれていたセーターは心の物だと思っていた私は
「………」
無言でセーターを見つめる心にドキドキと心臓が脈打つ。
「ん」
「--えっ?」
突き返された紙袋を咄嗟に取った私は、口をポカーンと開け間抜け面。
間抜け面の私をククッと笑った心は、顎で紙袋をさし
「それ、やる。」
と言った。
--それ…や、る…?
「あと…--」
ポカーンと空いている口をさらに開いた私に『不細工』と続けた心は
「忘れないうちに渡しとくわ。」
紙袋に手を伸ばし、何かを入れた。
何の音もしなかった紙袋の中を恐る恐る覗く。
「これって…」
紙袋から視線を心へと向けると
「ボタンと、ハチマキ。」
口角を上げ笑った。

