"宝物、、"
「--ぃ、あ--」
「あお!!」
「ぅ…」
重い瞼をゆっくり上げると、ぼやけた視界に不機嫌な顔をした心が写る。
力強く、揺さぶっていた心の両手が私の体から離れると
「お前まで寝るなよな…」
「はぁ…」と溜め息を吐き、寝ぼけている私の手首を引き上半身を起き上がらせた。
「し、んちゃ…?こ、こ…」
重たい瞼を無理矢理上げ、周りを見渡す。
周りを見渡すと、暗い中で視界に入った太い木。
「---えっ…」
太い木を見て、寝ぼけも吹っ飛んだ私は、自分が寝ていた所に視線を向けた。
「し、ばふ…」
手の平に感じるチクチクとした痛み。
「--へっくし!」
体の冷たさ。
体にかけてあったブランケットだけで寒さをしのぐことができなく、全身にプツプツと鳥肌がたっている。
「ほれ」
心の声と共に、肩にかけられたブレザー。
「しんちゃん、いいよっ!」
掛けられたブレザーをすぐに肩から取り、心の前に差し出す。
「着とけ」
私からブレザーに視線を向けた心は、再び私に視線を向けるとブレザーを奪い私の頭に投げた。
パサッと被さったブレザーを取り、抱えた私は
「ありがと…」
心に笑顔を向けた。

