電話の向こうで泣き止まない未来に、どうしたらいいのか分からなかった私に


「--あおちゃん?」


一樹の声が聞こえ安堵の溜め息を吐いた。


「かずくん、ごめんね…」


昨日あの後、荷物を取りに健吾の家へ行った私は、先に帰ってしまった心達に謝罪もお礼もしていなった。


「心配したんだよ。」


優しい一樹の声に、自分がしたことに後悔をする。


「ごめんなさい。」


「けど、大切にしてもらったんでしょ?」


「うん。」


「ならよかった。」


一樹達の前から姿を消したことには後悔はするが、健吾と過ごした2ヶ月は後悔していない。



「傷つけちゃった…」


「若田を?」


「うん。」


「若田は、あおちゃんの幸せを願ってるんじゃないかな?」


「え?」


「別れたんでしょ?」


「うん。」


「あいつは、自分の手であおちゃんを幸せにできないって分かって別れたんだよ。
だからあおちゃんは、その気持ちに答えなきゃいけない。」


「それって…」


「うん、心の所に戻れってこと。
あいつは、別れて2年以上経った今でもあおちゃんだけを思ってるよ。」


一樹の言葉に、心との楽しかった思い出が頭を過った。