飯塚の顔が見たくなくて、離れた場所にいる私にも届いた心の言葉に、動揺したのは私だけだった。


「調べはついてんだよ。」


「……」


「銀。」


口を開かない飯塚に痺れを切らした心は、目でやれと銀に伝えた。


「りょーかい。」


心底楽しそうな笑みを浮かべる銀は、ゆっくりと飯塚に歩み寄った。


青ざめた顔を引き攣らせた飯塚は、銀が近付く度に体をビクつかせ、


「俺がやりました!!」


自分がやったことを認めた。



「銀。」


「ちぇっ」


心が銀を呼ぶと、つまんなさそうに舌打ちをし元の場所へと戻った。



「確か俺が葵を探しているのを知って、電車に乗り込む葵と藤森を教えたのはお前だったな。」


「は、はい…」


「葵に脅しをかけてたのを利用して、後藤をやったのは…」


「お、俺が…金払ってこいつらに、やってもらい、ました。」


「まぁ、俺は後藤が入院したのも知ってたし、それを利用して葵を手に入れられた。」



--えっ、じゃぁ…


「無駄な暴力も飽きたところだったし、お前のお陰でいい思いができたから感謝してるぜ?」


ニヤリと笑った健吾は


「だが、今は俺の女だ。」


低い声を出し、飯塚の胸倉を掴み


「きたねぇ手で触んじゃねぇ。」


腫れ上がった顔に強烈な1発を食らわせた。