健吾は「鞄取ってくる」と言い、空き教室を出て行った。
授業中なのか、物音一つ聞こえない。
静かな空間で考えるのは心のこと。
私は健吾のことを選んだ。
--これでよかったの?
自分に問い掛ける私がいた。
---何が…?
健吾といると安心する。
--健吾のこと好きなの?
好き…?
わからない…
--じゃぁ、心のことは好き?
………す…
勢いよく開いたドアの音に、我に返った私。
ドアの所には健吾の姿。
その目は私の行動一つ一つを不安そうに見つめているように見える。
健吾は私を大切にしてくれている。
好きだと言葉と態度で示してくれる。
一人だった私に沢山の愛情を注いでくれる。
--私は、健吾といれば幸せになれる。
私は机の上にある鞄を掴み、駆け出し健吾に抱き着いた。
「うおっ!」
本人はきっと、私から別れの言葉を聞かされると思っていたのかもしれない。
予想外の行動に抱き着かれた本人は驚き、手に持っていた鞄を床に落とした。
「帰ろう?」
健吾から離れ、鞄を拾い健吾の手に自分の手を絡ませた。
健吾は嬉しそうに笑い、
「鞄貸せ。」
私の分の鞄も持ち、歩き出した。
正門にはもう心の姿は無く、あるのは斉藤さんが後部座席のドアを開けた車。
心を探したい衝動にかられながらも我慢し、車に乗り込んだ。
発進した車が向かうのは"私達の家"

