肩を落としたまま部屋へと入っていった泰…お尻を見送った。

皿洗いに戻った私のお腹に感じた温もり、温もりは背中にも感じ後ろから抱きしめられているのが分かった。


「どうしたの?」


泡の着いた手を洗い流し、濡れたままの手で振り返った。

振り返ると同時に、バチッと視線が交わり、


「ふふっ」


「笑うな。」


不機嫌そうにムスッとした健吾を見て、口から笑い声が漏れた。


「見てんじゃねぇよ。」


「えっ?」


「泰のち…--「あぁーーーー!」」


健吾の言葉を遮るために、口を両手で抑えた。



口を抑えた私の手を、健吾は離し


「今日、抱くから。」


赤く染まった頬にキスを落とした。

固まる私に、優しく笑いかけた健吾は頭を撫で


「じゃぁ、学校行ってくんな。」


リビングを後にした--…




(今日、抱くから。)


頭を占領する健吾の言葉。



健吾の所に来て約2ヶ月。

健吾は触れるだけのキス以外、私に触れることはなかった。


そろそろかなって考えていた私は、まさか予告されるとは思ってなかった。


抱かれてもいいんだよね?


この2ヶ月間、健吾と過ごし健吾は私にとって失いたくない大切な人となった。
私達を無理矢理引き離した健吾。

愛情ではない。
友情でもない。
この気持ちに名前をつけるのは難しい。


そんな中途半端な気持ちでも、抱かれてもいいて思ってしまう。


私に迷いはなかった--…