若田が向かったのは、隣の部屋へ続くドアで、ガチャッと鍵が開く音がしドアは開いた。
「えっ…、入って平気なの?」
「あぁ、隣も陸斗ん家が契約してる。」
私には考えられないことをさらっと言った健吾。
--柳の親、おそるべし…
健吾の後に続き、恐る恐る隣の部屋へ足を踏み入れた。
「---えっ…」
視界に入った色とりどりの頭。
--金、赤、茶、白、ピンク、青、緑。
なんでこんなに違う色がこの場に集まれるのかが不思議だ。
「若田さん、ちーーす。」
カラフルな頭が健吾に挨拶をし、頭を下げた。
「おー」
怠そうに言いかえすと健吾の周りに群がる女達。
カラフルな頭をした男とは違い、女達は髪の色は落ち着いているが、噎せそうな程の強烈な匂いを放っていた。
「若田さん、遊びましょう!」
「若田さん、今日は私と!」
若田の服や腕に手を這わせ、甘い声をだす女。
--この部屋なんなの…?
女達は私がいるのに気づいているのに、気にせず健吾に話かけている。
女達の鋭い視線が私を刺す。
私は、そんな視線から逃れるように顔を俯かせた。
睨まれても何とも思わない。
若田に絡まった白い腕を見ても落ち着いている私がいる。
「今すぐ離れろ。」
私の耳に聞こえた健吾の声は低くて、私の体は恐怖しビクッと肩を上げたが、健吾の言葉にホッと胸を撫で下ろした。

