「ん?」
「あのさ…よ、予備のふ、布団ってある…か、な?」
「なんで?」
「あ、あるんだったら…
一緒に、寝ない?
あっ!変な意味じゃないよ!?
ただ、ソファーじゃ体痛くするし申し訳ないし、あ、あの…-っ…!」
顔を赤くし、しどろもどろの私の腰を引き、腕の中に収めた健吾。
「一緒に寝たら襲うぞ。」
抱きしめられ、驚き固まる私の耳元で囁いた。
ビクッと肩を上げた私に
「耳弱いんだ。」
フゥーと息を吐いた。
「はぁ、我慢するか。」
腰に回った腕と密着した体を離し、頭を掻く。
私の位置からだと、俯いている健吾の表情は見えなかった。
「あっ、あのね、えーっと…」
「まぁ、いずれいただくから。
覚悟しとけよ。」
顔を上げ、私の頭を撫でる。
健吾の笑顔は引き攣っていて、胸が鷲掴みされたように痛んだた。
笑ってほしくて、哀しく笑う健吾を見たくなくて私は頭を上下に動かした。
「じゃぁ、布団持ってくっかぁ。」
私が頷いたのに一瞬だけ驚いた健吾は、私に背を向け歩き出した。
「ほら、取りに行くぞ」
振り返り、左手を差し出した健吾の手をジッと見つめた。
ゆっくりと右手を伸ばすと
「--きゃっ…」
伸びてきた手に右手を取られた。

