健吾の笑顔を見ると温かな気持ちになるのは、健吾に恋心があるから?
けど、この気持ちは…
しんちゃんとは違う。
この気持ちがなんなのか分からない私。
分からなくても気にならないほど居心地よさを感じた。
「どうした?」
健吾から視線を外すことなくボーッと見つめる私を不思議に思ったのか、顔を覗き込む健吾。
「な、なんでもない!」
近くにある健吾の顔を見て、キスしたことに今更恥ずかしくなり慌てて顔を逸らした。
私の反応に気分をよくしたのか、クククッと笑いながら頭を撫でた。
「この部屋使え。」
健吾に促され、入った部屋は
「えっ?
私、リビングのソファーでいいよ?」
綺麗に掃除された健吾の部屋だった。
後ろを振り返りドアに背を預けている健吾を見ると
「俺がソファーで寝る。」
真剣な眼差しで言った。
「いや…あの、急だったからさ…ソファ-…」
「ソファーで寝たらあいつらに食われる。」
『ソファーでいい』と言いかけた私を、遮った健吾の言葉に「ゔっ…」と言葉を詰まらせた。
「荷物、ここ置いとくな。」
ショッピングモールで買い揃えた日用品や洋服が入った袋を畳の上に起き、部屋から出ようとドアを開けた健吾を
「待って!」
呼び止めた。

