若田の言葉に反応したのは私だけではなく
「健吾の奴、ヤキモチ妬いてんぞ。」
泰は助手席に座る柳と一緒に、ケラケラ笑っている。
窓の外を見る若田の顔は、私の場所からは見えないが、まだ不機嫌でいるのかそれとも…
顔が赤いのか。
「ねぇ、こっち向いてよ…
…--健吾。」
--今、どんな顔をして私を想っているの…?
「---っ…」
私の声に瞬時に反応し、振り向いた健吾の顔は
「あはは、真っ赤だ!」
耳まで赤かった。
「笑うんじゃねぇ。」
クスクス笑う私から視線を逸らせた健吾。
なかなか笑うのを止めない私に
「---んっ…」
健吾は触れるだけのキスをした。
目を開いていた私は、健吾が近づき離れて行く所を目で追っていた。
余韻に浸っている私と健吾は
「ぎゃぁぁぁぁ!!
車の中でイチャつくの禁止ぃー!」
泰の声によって現実に引き戻された。
「嫌だったか?」
私の横で騒ぐ泰を見ることなく、私に問う健吾は不安そうで、私が頭を左右に振ると嬉しそうに頬を緩めた。

