「わ、わ、忘れてない!?」


動揺して聞き返してしまった私は、後部座席に座った一樹と未来に笑われてしまった。


「未来、またね!かずくんも!」


恥ずかしくて急いで車を降りた私の顔は赤い。
ドアを閉めるときに「俺はついでなの!?」と一樹の声が聞こえたが聞こえないフリをして車が発進できるよう数歩離れた。
離れたのを確認した心がアクセルを踏んで発進させた。
前を通りすぎた車を見て寂しく感じた。


(楽しみにしてる)


「あっ!お祭いつか聞いてないや。」


心の言葉を思い出すと同時に祭の日時を知らないことに気付き、視線の先の車に呟いたが戻ってくるはずもなく、車は左に曲がり見えなくなった。


「メールすればいいか…」


旅行鞄を持ち、マンションの自動ドアへと向かって歩きだした。