「ねぇ、しんちゃん。」
「あ?」
背中に呼び掛けると振り向く心。
「もしかして若田のこと知ってたの…?」
二年前のことを話しても特に何も言わないのが気になった。
「あーなんとなく。」
「なんとなく?」
「あおが脅されてたのは知らなかった。」
「うん。」
「『なんとかする』ってお前に言ったのは殴られないようにどうにかするってことだ。」
「うん。」
「殴るだけ殴った相手は"若田"だとは知ってた。
何かあるなとは読んでいた。」
「うん。」
「まさか別れろと脅されてたとは…
あおが急に別れを切り出した理由がわかった。」
心は「はぁ~」と大袈裟に溜め息をはいた。

