「ねぇねぇ~、一人~?」
「遊ぼ~」
「お姉さん、その水着よく似合うね~」
岩場から海水浴場へと歩きだした私に待っていたのはナンパだった。
悔しくて悲しくて泣き出しそうなのを下唇を噛み締め、俯き我慢する私に声をかけてくる男達を無視し、歩き続ける。
"水着よく似合うね~"
男の言葉で自分の水着を見る。
薄い水色のビキニ。
得に飾り気は無く、首の後ろで結び紐パンタイプのシンプルな水着。
(あおは水色が似合うな。)
昔、彼が言った言葉に今だに囚われている私。
今回、彼と一緒に海に行けると知って新しく買って良かったと、褒めてくれるかなと少し期待をした私。
「ばっかみた~い…」
苦笑いをして足元のワカメを蹴った。