「し…しんちゃん!!」
バトンを渡した瞬間、彼は私を見て微笑んだ。
−−−っつ…
暴れる心臓は走ったせいなのか、心の笑顔を見たからなのか分からない。
A組と一緒に2位で渡したバトン。
心はA組をすでに抜かし、1位のE組アンカーを追いかける。
−−−−あの時と一緒…
そう、中学最後の体育祭。
(あお!!)
(し、しんちゃん!!)
3年目のバトンパス。
2位でバトンを渡した私を見て心は笑顔を見せ走り出した。
どんどん1位に近付く心。
心の走っている姿を見て
−−−頑張って!!
両手を握りしめ祈った。
今も昔も変わらない。

