目を閉じ震える体を抱きしめていると足音が聞こえた。 −−行っちゃった… 彼の手を離したのは私。 慰めて貰う資格なんてない。 私はもう彼と一緒にいることはできないんだから。 震える体と涙を止めるために大きく深呼吸を… −−−−ぐいっ 「−−つっ」 いきなり腕を引かれ、吸い込んだ空気で喉がヒュッと鳴った。 腕を引かれ立ち上がり、今だに腕を掴む張本人を見る。 「し、しん…ちゃん…」 私の前に帰ったはずの彼がいた。 中学の時とは違う目の高さ、下から見上げながら見る彼は私を睨んでいる。