毎朝訪れる 僕と彼女だけの時間。 彼女は次の乗客が乗ってくる前に化粧を終える。 そう、だから 彼女のスッピンの顔を知っているのは僕だけ。 バスに乗っている乗客も、 バスを降りてから出会うだろう人たちも 誰も知らないのだ。 僕はそんな立場にいれることが嬉しかった。 だから僕は、彼女のことを遠くから見ているだけて満足だったんだ。 けれど、 そうもいられなくなってしまったんだ――