「都の様子を見て来てくれぬか」

少しは気晴らしなるかと思い、無理やり屋敷から追い出したまでは良かったが、その直後から妙な胸騒ぎがし始めた。

じっとしていられなくなり、慈尊は屋敷を飛び出した。

人界との間を隔てる雲を払いのけ、まっすぐ都に向かうつもりだったが、山の中腹まで来た所で、金縛りにあったように動けなくなった。