仮の住まいを全て引き払った高耶は、山の上の屋敷から動かない。

これといって用事のない時は、縁側にぼんやりと腰掛けて、いつまでも花を眺めている。

哀れに思わぬでもないが、どうしてやることもできなかった。

神とは名ばかりの修行中の身、おまけに童子姿の慈尊には、たいした奇跡は起こせない。

できることと言えば、庭の花を咲かせ続けることぐらいだった。