涙でぼやんだ視界はどんどん薄れていく。けど、空気が淀んでいくのだけがハッキリ分かった。
いつもレンのそばにいて感じられる空気じゃなくなった事がすごいハッキリと。
「・・・兄貴は・・・ウンザリなんだよ。バカ」
え?
ウンザ・・・リ??・・・それって、私の兄でいるのが嫌って事なの?
スクールバックが肩からズレ落ち、コンクリートの硬い冷たい地面に叩きつけられた。
制服の袖で涙を拭って、もう一度ちゃんとレンの顔を確認してみる。
でも、予想していた通り今まで見たことない表情。
怒ってるようで悲しんでるようで。どちらなのか、それとも全く別の感情からでてきた表情なのかも分からない。
「何っ?それ・・。・・・」
最悪な私の口からは最悪な言葉ばかり出てくる。嫌な人間だなぁ・・・私は。醜い。

