もう僕の視界には、君色しか映らなくていい。 「…凌、さん?」 息を切らしながら立つ僕を、藍さんは目を見開きながら見ている。 あァ、もう君しか見えない。 僕の世界は鮮やかな極彩色に染まっていく。 「…ごめん、」 怖がらせてごめん。あんな僕を見せてごめん。汚い色を見せてごめん。 ねぇ、君に逢いたかった。 「…あげる。」 僕は藍さんの手を取ると、カリンの一枝をその手の乗せた。僕の想いが藍さんの手に包み込まれていく。 「唯一の恋」 カリンの花言葉。 最初で最後の恋を、僕は君に贈るよ。