「あっ!
伊藤先輩だぁ〜」


俺、この子苦手。


しゃべりが、ギャルっぽくて。


ギャルっていうか、キャピキャピ感っていうのかな?


梨依には、似てない。


見た目は、似てんだけどさ。


「実依ちゃんだっけ。
久しぶり。」


はぁ。


どうしよう。


この子と2人きりとか。


気まずい。


仕方ないんだけどさ。


俺、早く帰るかな?


会話が続かなさそう。


「ヤダ〜。
名前、覚えてくれてるんですね?
ちゃんなんていらないですよ。
実依って、呼んでください。」


軽っ。


「俺、梨依以外の女の子を呼び捨てする気ないから。」


「梨依ちゃん、一筋なんですね。
まあ、知ってたんですけどね。
梨依ちゃんをとられたくなくて見て見ぬ振りしてきたけど、無理なのかな?」


「見て見ぬ振り?」


意味がわからん。


「梨依ちゃんが珍しく言ったんです。」