「十和さん、自分を責めないでください。」


「自分、責めなきゃやってらんないんだよ。
今までを振り返ったら、後悔ばかりだよ。
梨依を傷つける行動しかしてないんだから。
兄失格だよな。」


「梨依は....」


俺は、躊躇った。


「なんだ?
なんか言ってたのか?」


梨依、言っていいか?


これは、十和さんにとって救いになるのか?


「梨依は、悲しいと思う反面、安心してました。
けど、やっぱ自分があんな目にあったのにって。
たまに、精神不安定な時に錯乱状態になると十和さんと百輔さんを責めていました。」


「やっぱり....」


十和さんは、自傷気味に笑った。


「けど、それは、あの日の事をなかったことにできたんだと安心したんです。
だから.....」


「俺らのためか....
梨依は、心優しいいい子だ。
けど、気を使いすぎてため込んでしまう弱い子。
わかってたのに。
兄として情けない。」