「おまえら、久しぶりだな。」


ここのマスターは、接客よりも厨房なのに、なぜか私と卓のメニューを運んできた。


「お久しぶりです。
そういえば、1年以上ぶりですね?
覚えててくれたんですか?」


結構来てたわりには、マスターと話しをしたのは、数えるほど。


「まあな。
うちの店にくる中で、一番の美男美女カップルって有名だからな。
おまえ等が別れたと思ってたけど、違ったんだな。」


マスターは、私と卓を自分の子供たちを見るような優しい目をしていた。


とても嬉しそうだ。



「まあ、ちょっといろいろありましてね。」


「そうか。
また、前みたいに来てくれよ。
うちの従業員は、おまえ等が来るのを結構楽しみにしてんだよ。
彼女は、カルボナーラ。
彼は、オススメメニュー。
本当は、注文せずに、準備始めてんだよ。
今日だって、見た瞬間、材料の準備をしたからな。
久々に来ても、変わってないおまえ等で安心したよ。」


マスターは、本当に嬉しいみたい。


なんか、私まで嬉しくなっちゃう。


ここに来てたのは、卓との時間を少しでも延ばすためだったから。