「そこの二人も、もっと楽しみましょうよ!」


そこの二人…

それは先輩と神谷くんのことだ。

さっきからこの二人は一言も話していない。

海に向かうバスの中でも、二人の間に会話はなかった。

先輩はなんか怒ってるし、神谷くんは元気がないし…

これは楽しめる雰囲気じゃないかもしれない。


「愛里ちゃん!水着に着替えに行きましょ!」

「あ、はい」


リンカさんに引っ張られたとき、神谷くんが見えた。

そして思った。

今日、もう一回言おうと。

付き合えないって…

…ごめんって。