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「いらっしゃいませー」
裏でお茶とか入れてる所からそーっと覗いてみると、人、人、人。
あたしたちのクラスは沙羅ちゃんの思惑通り、大繁盛していた。
それもこれも、沙羅ちゃんの思惑通り。
伊吹の格好が自動的に女の子を引き寄せる。
他校の女の子も、見慣れてるはずのここの生徒も、みんなして伊吹を見にきたらしい。
いや、どんだけ大魔王の引力強いんだ。
「カッコいい」
「ホント」
飛び交う声がどうも……鬱陶しい。
お客様に失礼なわけだけど。
お客様だろうとなんだろうと、大魔王信者なことには変わりない。
「妃芽ちゃんこれ、三番ね」
「あ、はーい」
沙羅ちゃんが忙しそうに言って、そのまますぐ奥に引っ込む。
勢いに押されてあたしも急ぎながら、ジンジャエールを持って三番テーブルに向かった。


