「やっぱりッ!ホント最低っ」
「るせーな。もうそういう意味でいいから、どっか行け」
煩わしそうにそう言って、諦めたような顔付きをする。
もうそういう意味でいいって、なんのこと?
聞きたくなったけれど、また言い合いになりそうで。
言われた通りにその場を離れた。
だってほら、コイツといると他の女の子の目が怖いし.
大魔王の信者様方って、並の人達じゃないんだよ。
「妃芽ちゃん、もしお触りされたらはっきり断って大丈夫だからね!」
伊吹から離れると、沙羅ちゃんが駆け寄ってきてそういった。
「は?お触りって…
「何も聞かないで。はっきり断ったって、売り上げに変わりはないの。いい?妃芽ちゃんを危険にさらすのは本当に申し訳ないのよ!」
だけど売り上げがあー、と唸りながら沙羅ちゃんは頭をガシガシかく。
せっかくセットした髪が酷いことになってんですけど?
とは、沙羅ちゃんの異様な雰囲気に当てられて言えなかった。
「申し訳ない!何かあったらあたしが飛んでくからねっ」
「へ?うん」
よくわかんないけど、守ってもらえるならそれはそれでいいか。


